童謡の思い出
童謡と過去の情景
年をとるたびに思い出が詰まった“物”が増えていきます。
まだまだ未熟な僕だけれど、もっともっと年を取ったら、もしかして周りのもの全てに対して、なんらかの感情を抱くようになるのかもしれない。
それが人生というもの意味なのかもしれません。
誰にだって聞くと、ある過去の情景が思い浮かぶ童謡があると思います。
ここでは、僕自身のそんな童謡の思い出を紹介していきたいと思います。
秋の散歩道
僕がまだ小学校に上がる前の話。
僕の母親は散歩をするのが好きでした。
その日も夕方頃から散歩に行くといいだしたので、“何故か”ふと思い立った僕は、その日に限って一緒に付いていくことにしました。
母親が何故か少しだけ何時もより儚げに感じたからかもしれません。
散歩のコースは何時も決まっているようでした。
家の前の道を、坂を登る方向に歩き、突き当りの長くて緩やかな階段を越えます。
そして登った先にある小学校の前を通って、横の坂を下り、家までまた戻るのが何時もの散歩の流れでした。
僕はゆっくりと風景を見ながら歩く母親を煩わしく感じて、駆け足で追い越して待ち伏せしたり、散歩コースを勝手に離れたりと、せわしなくしていました。
そんな僕を母親はにこにこしながら見ていました。
帰り道は、母親と一緒に「赤とんぼ」の歌を口ずさみながら、歩きました。
母親が亡くなった痛みも忘れた現在。
僕が母親について思い出そうとすると、いつもその散歩道の情景と、「赤とんぼ」の歌が頭に過ぎります。
あのとき何気なくついていった散歩が、僕にとっては本当に大切な思い出になりました。
今考えると、もしかして過去の僕はそのためにあの日に限って、母親と一緒に散歩にいったのかもしれません。